・第66回アメリカ口腔インプラント学会(AAID)年次学術大会で講演しました。(平成29年10月11日~14日、場所:HILTON SAN DIEGO BAYFRONT)
今年、ご逝去されたインプラント界の巨人、LEONARD LINKOW先生
を偲んでのGrobal Symposiumの中での講演でした。
世界中から著名な先生が講演されるこのセッションで講演できたことは
身に余る光栄なことでした。
リンコー先生は、1993年6月25日に愛知インプラントセンタ-での
講演のため来日されました。
私自身も生前、ニューヨークの先生の診療室に何度も勉強のためお伺いしました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
講演中の私です。相変わらず下手な英語です。
後ろには、演者各国の国旗が並んでいました。
今回は、当会の4名がAAID Associate fellowの試験に合格され、晴れの資格認定証
の授与式がありました。
必死で勉強されたと思います。本当におめでとうございます。
当会会員の先生方との食事会での記念写真です。
ここからは私事でスイマセン。
今回 アメリカンボードの専門医試験 (Diplomate of ABOI/ID)に合格し、
その認定メダル授与式がありました。
この授与式、指定のガウン着用が義務付けられています。
授与式の直前、会場に入場する前の試験合格者の記念写真です。
私を含め、皆さん嬉しそうです。
どうも、私が最年長のようでした。
日本から来た”変な爺さん!”ということでしょうか?
一人づつ壇上に上がり、メダルが授与されます。
学会が終了した土曜日夜の会長招宴のパーティーでも、一人ずつ名前を呼ばれて皆さんに紹介されます。
Diplomate of ABOI/ID の認定証です。
日本語では、多分、アメリカンボード認定インプラント専門医という所でしょう。
この資格、8年で失効します。その間に、所定の厳しい単位を取得すれば更新できるようですが、日本に住んでいる私にはそれは無理でしょうから、事実上、最初で最後でしょう。失効するに日時が、左下の隅にキッチリ表記されています。(2025年12月31日までです。)
そんなことより自分が驚いたのは、1969年にこの資格ができたのですが、自分の認定番号がたったの551番ということです。
メダルの裏には、名前が入っていました。
・アメリカ口腔インプラント学会(AAID)現会長のShankar Iyer 先生が、愛知インプラントセンタ-主催 Japan MaxiCourse
第3期講演のため来日されました。(平成29年9月23日24日)
アメリカ口腔インプラント学会(AAID)会長として御多忙の中、今年も当会のため来日していただきました。いつもながら、大変すばらしい講演でした。さすがAAIDのトップに登り詰めた先生です。どこまで知識が深いのか、計り知れません。
当会以外でも、世界中で講演されています。毎年、最新の知識をわかりやすく講演していただけるので、本当に感謝です!
・フィリピン・セブ島のSOUTHWESTERN UNIVERSITY歯学部で講演しました。(2017年6月16日)
この大学の歯学部長のRODIVICK O. DOCOR先生は、日本の岡山大学歯学部に5年間留学され、学位を取得されたと聞いています。日本語がペラペラです。したがって、当初、日本語での講演でもOKかな?と思いましたが、結局すべて英語ということになり、また例によって、下手な英語での講演になってしまいました。今回は、私と、当会の会員の寺本祐二先生が講演しました。
会場は、現在歯学部の校舎が改築中ということで、法学部の校舎での講演となりました。出席者は、歯学部の最終学年全員、それに教師陣と地元のインプラントの実力者が出席されました。会場の教室は、満員でした。皆さん、熱心に聴講されていましたが、学生さんにはちょっとレベルが高すぎたかな?とも思いました。しかし、インプラント治療とはどんなものか?どこまでできるか?ということを見せるのは夢を与えるということでは良かったかもしれません。学生さんよりも、教師陣が食い入るように聞いていましたし、講演後もいろいろな質問が飛んできました。
最初に、寺本先生が講演しました。
次に、私の講演です。
教室、満員でした。
講演後、みんなで記念写真です。
向かって、私の左側の赤い服の先生が、歯学部長のDOCOR先生です。
講演後、寺本先生、私の両方に、感謝状頂きました。
ありがとうございました。
帰り際、校舎の前での記念写真です。
・アメリカンボード認定インプラント専門医試験を受験しました。
(2017年3月26日 米国・シカゴ市、アメリカ歯科医師会館にて受験)
Diplomate of ABOI/ID Examination
私が、初めてアメリカンボードという言葉を耳にしたのは、今から約40年前のことです。当時、私は、愛知学院大学歯学部矯正学教室に在籍していました。その時、アメリカで大変著名な矯正専門医が講演のためハワイから大学に来られるということで、私もその講演会に出席させていただきました。その先生は、George
UESATO先生というお名前で、日系アメリカ人の先生でした。講演の前に司会から紹介された肩書の中で、アメリカンボードの専門医資格を持っている先生で、この資格は、臨床家の持つ専門医資格では一番難しく、最もステータスの高いものであるという説明を受けました。
その後、このアメリカンボードという名称は私の記憶から消えてしまいましたが、自分がAAID(アメリカ口腔インプラント学会)に身を置くようになり、AAID年次学術大会の演者の肩書にDiplomate
of ABOIというのを目にし、インプラントにおいてもアメリカンボードというものが存在するということを知りました。
現在、日本の医科においては日本専門医機構による専門医制度が進んでいます。多分、アメリカンボードはこの機構に相当するものだと思います。アメリカンボードでは、中立性・公平性を担保する意味で、学会や行政とは一線を画しています。つまり、アメリカンボードでは、原則、専任の委員が運営や試験を行っています。このボード認定試験を受けるには大変厳しい条件が課せられています。どのような組織(大学等)で、どれくらいの研鑽をしてきたのか?目指す専門医科目に関する学会や研修会に合計何時間出席してきたのかなど、具体的に最低条件が示されます。それらの厳しい条件を満たしたうえで、ボードが指定した症例(難症例が多く含まれます)の詳細なケースレポートの提出が求められます。これらすべての要件を満たして、初めて受験が許可されます。
アメリカではこのボードによる専門医認定が医科・歯科において古くから実施され、広く認識されているせいか、学位(博士)よりも専門医が重視されているようです。つまり、アメリカでは、このBoard試験に合格することが、臨床に携わる医師・歯科医師の最終到達点の一つとなっています。日本においても、近年、特に医科において学位より専門医を目指す医師が多くなってきているとの報告もあります。
ABOI/ID(American Board of Oral Implantology/ Implant Dentistry)は1969年に設立されています。Board認定インプラント専門医試験(Examination
of Diplomate of ABOI/ID ) は、毎年3月シカゴ市のアメリカ歯科医師会館で実施され、選択式筆記試験と口頭試問から構成されており、受験生は2日間かけて受験します。
私の場合は、1994年にすでにアメリカ口腔インプラント学会フェロ-(Fellow of AAID)試験に合格していましたので、筆記試験は免除されました。言い忘れましたが、実は、私は20年ほど前(AAID
Fellow試験に合格した後)に、一度この試験を受験しようと思いました。しかし、それはできませんでした。なぜかというと、この試験の受験者は、基本、アメリカあるいはカナダの歯科医師免許がないと受験できなかったからです。私は、当然、日本の歯科医師免許しかありませんので、その時はやむなくあきらめました。一方で、AAID
Fellowの試験は、外国の歯科医師免許保持者でも受験可能であったため受験できたという次第です。
上記のABOIの規程ですが、思いもかけず、昨年(2016年の秋)に突然変更され、外国の歯科医師免許保持者にも受験できることになりました。つまり、今年の3月の試験が、外国の歯科医師免許保持者が受験できるようになった最初の試験というわけです。ただし、試験言語は英語に限られ(当然、通訳はなしです)、試験内容もアメリカ人と全く同じで、一切の便宜はないという条件付きです。
この試験を受ける前月( 2月3~4日)に、受験会場のシカゴ市のアメリカ歯科医師会館で開催されたABOI Review Courseにまず出席しました。これは、受験に際しての直前セミナーで、各科のBoard試験の前によく開催されるものです。注意事項や心構えなどの説明ともに、2日間、朝8時から夕方5時までみっちり講義がありました。50名ほどの参加者があり、皆さん必死で聴講されていました。外国人は、私だけでした。スイマセン!私は、午前中は良かったのですが、午後(日本時間で夜明け前)、時々記憶がありません。この不届き者!でした。木曜にシカゴに入り、金・土の講習会は、さすがにきつかったです。
さて、3月26日の本番の口頭試問は、休憩なしの2時間でした。終了時、時差ボケもあり、頭は朦朧とし、目もかすむくらい疲れました。日本語での連続2時間でもきついのに、英語ではなおさらです。終了後、正直“これは落ちたかも!”とも思いました。というのは、日本の試験と違って、ある意味正解のない試験だからです。つまり、提示されるいろいろな症例に対し、それぞれ質問されるわけですが、どの治療方針が正解というものはありません。すなわち、受験者がある治療方法を提示すれば、その根拠を聞かれます。それに答えると、それに対しての根拠をまた聞かれます。それが繰り返されます。そこそこ、答えると、次に”
Another Option? ”と聞かれます。つまり、正解はないのです。試験官は、受験者の知識の深さを探ってきます。答えた後でも、試験官は無表情で全く反応しません。したがって、受験者は自分の答えが正しかったどうかもよくわかりません。このような試験方法ですから、試験を先に受けた人にその内容を聞いてもほとんど参考にならず無意味です。公平性についてもよく考えられています。
さすが、世界で一番難しく、ステータスが最も高い試験(私見です)と思い知らされました。これほど厳しい試験を、なぜアメリカの歯科医師が受験したいかというと、この試験に合格してBoard資格を取得すれば、民間保険が主であるアメリカの社会において、同じ治療をしても、無資格者と有資格者では保険会社から支払われる金額に歴然とした違いがあるからだと昔聞いたことがあります。したがって、それがIncentiveであるらしい。とは言っても、日本ではこの資格、何のIncentiveもありません。しかし、日本では何も価値がない資格だからこそ逆に価値があるとも言えます。物事は、裏腹です。自己満足といえばそれまでです。もちろん、Internationalには広く認知されていますので、海外講演などには役に立ちます。海外ではUSドルのほうが、日本円より広く通用するということでしょう。
私に関して言えば、そんなことより自分の今のレベルを、世界で通用する客観的試験で測ってみたいというか、確認したいという欲求が主たるものでした。
現在、ABOI/IDの有資格者(Diplomate)は、約450名と聞いています。アメリカとカナダでの数ですから、大変、狭き門です。
この資格、基本的に8年で失効します。その間、所定の大変厳しい単位をとり続ければ、また資格の延長が認められるようです。しかし、8年後、自分は生きているのかどうかさえ危ういので、事実上、これが最後でしょう。
今回は運よくこの試験に合格できました。英語がヘタな私ですから、きっと、ギリだったと思います。日本人の合格としては二人目、規程が変わってからの合格は一人目です。
今後、私のような老骨ではなく、若い日本の先生がこの難関にどんどん挑戦していただければ、日本人歯科医師の海外での評価が上がると思います。
試験合格者に対するCertificateとメダルの授与式は、10月に米国・サンディエゴ市で開催される第66回アメリカ口腔インプラント学会(AAID)年次大会で行われます。このAAID大会、私は毎年必ず参加しています。特に今年はGlobal
Symposium の演者でもありますので都合は良いです。
この試験については、下記、ABOI/IDのホームページに詳しく出ています。
https://www.aboi.org/
試験終了後、事務局の女性に試験会場の入り口で写真を撮ってもらいました。
その時、私と同じ受験生のアメリカ人が、”落ちたら来年も撮れるネ!”と言って、笑っていました。きついジョークでした。
・2017年1月に行われた公益社団法人・日本口腔インプラント学会の指導医・専門医試験に当会から3名受験し全員合格されました。
指導医合格者:伊藤幸司
専門医合格者:大谷 昌、徳丸 啓二
現在学会員数は、約15,000名。
その内、指導医は191名、専門医は1,076名(H29.2.25現在)
狭き門です。合格、おめでとうございました。